これが私の王子様
一方、直樹は勉学に長けているが、スポーツは苦手という薫とは真逆の生徒である。
そしてその両方をマルチにこなすのが和人であって「天は二物を与えず」という言葉を否定する存在。
「赤点なら再テストって、ないよな」
「どうだろう」
「再テストになったら、教えようか?」
「本当か!?」
「教えるくらい、構わない」
「なら、僕も一緒に」
二人の熱い友情に、薫は感謝しきれない。
だが、最初から再テスト前提にテストを受けられては困るので、テストがあるとしたら赤点を取らないよう全力で取り組んで欲しいと念を押す。
「勿論、全力でやる。赤点なんて、取りたくない」
「健闘を祈る」
和人と直樹の学力からいって、赤点は絶対に有り得ない。
満点を取るか、一問か二問間違えるかの二択。
和人と直樹は、互いの顔を見合うと「今回は絶対に勝つ」と、宣言し合う。