これが私の王子様
いつもであったら寝室も見るも無残な状況になっているが、祖母のお陰で清潔感が漂う部屋へと生まれ変わっていた。
また掃除と共にシーツも交換されており、以前こぼしたジュースのシミが消えている。
それにあちらこちらに脱ぎ捨ててあった服は洗濯され、更に綺麗に畳まれベッドに置かれていた。
洗濯は機械が勝手にやってくれ、尚且つ乾燥機も購入してあるので、これくらい自分でできないわけがない。
だが、和人は「面倒」という理由で汚れ物を溜め込み、祖母に任せている。
一方、祖母も可愛い孫の為と頑張る。
そんな二人は、仲のいい祖母と孫だった。
和人はベッドの上に鞄を無造作に置くと、クッキーの袋を片手に祖母が待つダイニングへと戻る。
椅子に腰掛け、コーヒーが淹れられるのを待つ。
しかしその間、ゆかのクッキーが気になって仕方がないのだろう、早く食べたいとばかりに袋を凝視。
見兼ねた祖母が先に食べていていいと言うが、珍しく和人は我慢することにした。
食欲旺盛な和人が我慢していることにハナは、無理はしない方がいいと再度食べていいと促すが、やはり和人が手を付けることはしない。これもまた、祖母を大事にしている和人のいいところ。