これが私の王子様

「このクッキーを作った子って、料理が上手いのかしら。これだけの物、なかなか作れないわ」

「自分で弁当を作っていた」

「あら、凄い」

「混ぜご飯に、おかずも豪華だった」

「相当、料理が好きなのね」

「かもしれない」

「残りは、和人が食べていいわ」

「いいの?」

「これは、貴方が貰った物。それに沢山料理を作らないといけないから、ゆっくりできないわ」

 そう言いつつ、ハナは椅子から腰を上げる。

 一方和人は、祖母と半分ずつ食べる予定だったクッキーを、一気に食べてしまう。

 思えば、同年代の異性が作った料理を食べたのは、これがはじめて。それも予想以上に美味しいのだから、嵌りそうだった。

 角砂糖とミルクを入れたコーヒーを飲みながら、和人は「他の料理は、どれほど美味しいのか」と、興味を示す。

 といって面と向かって「他の料理も食べたい」とは、言うに言えない。
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