これが私の王子様

 まず、周囲の目が心配になる。

 なんだかんだで、和人は女子生徒達の言動を知っている。知っているからこそ、下手な行動は取れない。

 なら、菅生は――

 手っ取り早く連絡を取るのには、彼女に間に入ってもらうのが一番いい。今回も詩織経由で、クッキーが手渡された。それなら今回も彼女に頼めば、問題なくゆかに頼み事ができる。

 和人は、制服のポケットからスマートフォンを取り出すと、詩織に連絡を取ることにした。


 勿論、要件は「ゆかの料理」について。和人は薫と直樹以外に、詩織の携帯番号とメールアドレスを知っている。

 三人ともスマートフォンを使用しているので、多くの人が利用しているLINEを使えばいいが、和人は利用していない。

 主な理由は「薫と直樹が利用していない」で、使用しなくても特に不便を感じないからだ。

 だからいつものように、文章を作成する。

 手慣れた手付きで打ち終えると、そのまま送信。

 後は、詩織からの返信を待つのみ。

 しかし、すぐの返信は期待していない。
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