これが私の王子様

(腹、減った)

 スマートフォンの画面を見れば、時刻は6時半を回っていた。

 また勉強をしていたいが、胃袋が限界を訴えているので集中することができない。和人は教科書とノートを閉じると、椅子から腰を上げた。

 腹を摩りつつ、ダイニングへ――

 次の瞬間、多くの料理に目が輝く。

「凄い」

「勉強はいいの?」

「腹が減って……」

「それは大変」

「食べていい?」

「ええ、いいわよ」

 祖母の言葉に和人は椅子に腰掛けると、右手には箸、左手にはご飯が盛られた茶碗を持つ。

「婆ちゃん、いただきます」

 言葉と共に、筑前煮に箸を伸ばす。

 濃くも薄くもないちょうどいい味付けは、流石何十年と料理をしているだけある。けんちん汁は具が多く、これまた味付けが和人の好み通りだった。
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