君のための唄。
『夏也、あれから夏織ちゃんとはどーなってんの?』

蝉が五月蝿い7月の終わり。

こう聞いてきたのはベースの貴だった。

『別にどーもなってねぇよ。』

この言葉通り、俺と夏織との関係は変わらずだった。

今は夏休みで。

俺たちは朝から夕方までバイトして夜ストリートライブという生活を送っていた。

高校3年生の俺たち。

『進路』という問題も立ち塞がっていた。

それを少しでも考えないようにバイトに明け暮れ

ストリートライブに明け暮れていたのかもしれない。

貴や智也はどーするのだろう?

いつまでも、こんなことやってられない。

そんなことは3人とも判っていることだった。

まだ、誰も言わないが皆、同じ事を考えているだろう。

将来の事と夏織のこと。

俺の脳みそはパンク寸前。

空は赤から紫へと変わっていっている。

いずれ黒へと変わるだろう。

今の俺の心はすでに真っ暗だった。
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