悲愛日記
なんか、これからの高校生活にウキウキワクワクって感じ。
そんなことを思いながらもみんなの輪に混ざってカラオケルームへ直接歩いて向かった。
そして部屋へ着く。
クラスは全員で40人。
参加する人数は過半数を余裕で越えて30人ちょっとらしい。
でも一部屋に最大20人しか入らないので、適当に半分に分かれて2部屋を用意してもらった。
葉月くんにもこれは予想外だったようで、「また今度大部屋あるカラオケ店行くか」と苦笑いしていた。
「席どうするーー!?」
そして私たちのグループが部屋に入った途端、始まる席割。
「あ、俺端っこーー!」「隣座ろうよ!」「莉子隣り座ろー」「葉月、お前俺の隣決定な」
様々な声が入り乱れる。
……で、結局みんなどこに座っていいか分かんなくてほぼ突っ立っている。
すると……、
「はい、静粛に。こうなれば俺が適当に決めるから。もち異論はなしなー」
少し焦ったように葉月くんが叫んだ。
すると直ぐにドッと湧き起こる笑い声と、ブーイング。
「やだぁ!」「え、葉月。俺が隣ってやなのかーーー!?」「葉月くん、あたしそこがいい!」
「ダーーーメ!はい、俺が決めます。決定事項」
そんな騒がしい様子を笑いながら見ていると、ふと葉月くんと目が合った。
「……あー。じゃ、じゃ…。一番右奥は伊東さん。で、俺がその隣?」
いきなり指名されて少し驚く。
葉月くんはちょっと照れくさそうに笑って、次々と席を指名していった。
ちなみに、葉月くんはもうクラスの全員の名前を覚えている。
私はまだちょっとしか覚えれてなくて、顔と名前が一致しない人がほとんどなのに。
凄いと思う。
それに席割も勝手に決めていった割には、ちゃんと公平性があって、文句を言う人はほとんどいなかった。
でもその代わりか、男子が何人か葉月くんに突っかかっていってる。
満面のニンマリ笑顔で。
そして何か言われた葉月くんはすんごい顔を真っ赤にして、焦りながら怒っていた。
「莉子ー!流石莉子!もう葉月の心鷲掴みじゃん!」
葉月くんを見ていると、ふいに掛けられた声。
「もう、杏奈(あんな)!なんでそうなるのー!」
杏奈という一緒に行動したり、一緒に一番よく喋っている子からだった。
凄い明るくて、ハキハキとしてる性格。
でもなぜか時々葉月くんのことをからかってくる。
「だって莉子、こんなに可愛いじゃん!ホントお人形。マジ天使」
「……お世辞をどうもありがとうっ」
いや、私天使とかのキャラじゃないから。
それに顔は普通だと自分でも自覚しておりますし。
思わずむぅっとしていると、なぜか他の男子数人が私と杏奈の中に混ざって来た。
そして直ぐに始まる葉月くんへの愚痴。
「伊東ちゃんと席近くがよかったー。」
「葉月のやつ、伊東さんを独占しやがってー。あんやろ、羨ましいぜ!」
いきなり何だろ、と思うけど苦笑いで応える。
まだ、葉月くん以外の男の子にはちょっと慣れてない。