悲愛日記
逢えない
ピッピッピッ
音が、聞こえる。
重たい瞼をゆっくりと開けた。
そこには見慣れない、白い天井が広がっていた。
あれ、と思って視線だけ動かして周りを見る。
「………びょ、いん…?」
掠れた声が出る。
どうやらここは、病院のようだった。
私何で病院になんてとこにいるんだろう。
点滴にもつながれている。
ぼんやりとする意識の中、バタバタと病室の外で騒がれているであろう足音が聞こえてきた。
微かにだけど声も聞き取れる。
「……急いで!」
「バイタル確認!」
「輸血!」
「患者の親に連絡して!」
「先生…!血圧が!」
でもその音も遠ざかっていく。
私はその音をまるで子守歌のように聞いて、またまどろむ意識に身をゆだねた。