悲愛日記
「莉子ー!ちょっとかき氷買にいこ!」
夏休み。
無事、期末テストも終わり補習もなく夏休みを迎えられた私。
全て葉月くんのおかげです。
「いこーー!」
そしてその夏休みを有効活用して、友達6人と海に遊びに来ました。
今4人はビーチバレーをしていて、砂でぐっちゃぐちゃになってしまっている。
私はパラソルの下で優雅に4人の姿を鑑賞していたけど、同じく鑑賞していた杏奈に誘われかき氷を買いに行くことになった。
じりじりと日が照る中、なぜか話しかけてくる男の人を杏奈はことごとく無視して前へ進む。
だから私も無視して、杏奈の後ろをついて行った。
そして海の家が見えてきたとき……。
「あーーーーーー!」
杏奈がいきなり叫び声をあげた。
「……どうしたの?」
杏奈は自分の耳をペタペタ触っている。
「イヤリングどっかに落としちゃった……」
「え、海に!?」
さすがに海の中に落としてしまったら絶対に出てこないと思う。
「いや…。泳いでるときは外したし、さっきパラソルの下では絶対につけてあったから、ここに来る途中で落としちゃったんだと思うけど……」
すっごい悲しそうな杏奈。
そんな杏奈を見たら、絶対に見つけなきゃと思った。
もしかしたらすごく大事なものなのかもしれないし…!
「私も探す!ほら、急いで探そ!」
私が励ますように言うと、杏奈は大袈裟に感激していた。
「ありがとーーー!莉子、大好き!あのイヤリングすっごい高かったのーーーー」
なんだ値段の問題かい、と突っ込みつつも足元を見て元の道を杏奈と辿っていく。
すると視界に誰か男の人っぽい足が映りこんだ。
うわ、ぶつかる…と思って咄嗟に顔を上げた。
………上げたんだけど。
そのまま固まってしまった。