悲愛日記
でも葉月くんは突っ込まずに律義に応えてくれた。
「え、っと…。友達たちと来てて、今海の家に行こうとしてたんだけど………」
莉子ちゃんも?と、名前を呼ばれてドキッとする。
あぁ、もう……。
暑さと緊張と嬉しさと幸せで倒れてしまいそうだ。
「うん、っ!」
「そっか…」
「………」
「…………」
………返す言葉が見つからない。
沈黙。
「えっと…、その、あの…。と、友達待たせてるから戻るね!!」
そして私はなんと、あまりにも内心ぐちゃぐちゃのあまりボーっと突っ立ってる葉月くんを置いて走って去ってしまった。
悪いけど杏奈のイヤリングもさっぱり忘れていた。
まぁ後で見つかったとの報告を受けたからよしとしよう。
……それよりもいきなり帰っちゃって、葉月くんに変な子とか、失礼だなとか思われてたらどうしよう…。
ぐっちゃぐちゃの感情に、不安という感情がまた加わって、更に複雑になった。
だからか知らないけど、次の日は知恵熱らしきものを出しました。