悲愛日記
絶対に引きつっているであろう顔で葉月くんを見上げるけど、葉月くんは気づいているのか、いないのか。
「何で?」
キョトンとした笑みを返された。
え、と内心思いながらも、なんて言葉を返そうか必死で考える。
でもその時、ドンっと後ろから人がぶつかって来た。
「うわっ」
なんとかバランスを取ってコケることはなかったけど、数歩前に進んでしまった。
つまりお化け屋敷に近づいてしまった。
「大丈夫!?」
もうなんか見た目から怖いお化け屋敷が目の前に。
「う、うん……」
何をどうやっているのか知らないけど、血痕が所々についているし、雰囲気からヤバいよこれ。
「ここに突っ立ってると邪魔んなるから、入ろうか」
私がビビっている間に、葉月くんはもうお化け屋敷へと足を進めていた。
えぇぇぇぇっ!
待って、待って、どうしよう。
全力でお断りしたいけど、それはそれでなんか言いにくいし…。
もう葉月くんと一緒ならどうにでもなれ!と意識が遠くなるのを感じながら葉月くんの背中を追った。