悲愛日記
「「「かんぱぁーーーい!」」」」
がっちゃーん!とみんな手に持ったグラスをぶつけた。
少し遅めの文化祭の打ち上げ。
今回は、ちゃんと全員が入れる部屋を取ってくれていた。
「じゃ、さっそく歌おーぜ」
誰かの掛け声で各自思い思いのままに動き始める。
「あ、あの曲入れて!」「誰かさ、男子えーけーびー踊ってよ!」「おい、今回も勝負しようぜ!また余裕で勝つし?」「もうヤダよ」「音痴は帰れー!」「俺すんげぇ歌うまいのに!?」「えーけーびー!」「ちょ、コーラとメロンソーダー混ぜてみてよ」
わいわい、わいわいと盛り上がっているみんな。
マイクの奪い合いをしているのかと思えば、机の上をびちゃびちゃにしながらジュースをミックスしていたり、ダンスを曲なしで踊っていたり、思い思いにメニューから食べ物を頼んでいたり。
すごく、楽しい。
隣りにいる杏奈に笑顔を向ける。
「杏奈!一緒に歌おうよ!」
今日は葉月くんは隣りじゃなくて目の前の席だ。
女子軍が部屋の左側を陣取り、男子が部屋の右側を陣取っている。
30人以上が入る部屋で相当大きいのに、葉月くんが目の前に座ってくれるなんて運がいい。
「もっちろんいいよー!逆にこっちから土下座並みにお願いしたい!じゃ、どの曲にするー?」
きゃいきゃい、わいわいとみんなに混じって騒ぐ。