悲愛日記
ちょっと肌寒くなってきたこの頃。
現在、私は四人の女子に髪をいじられております。
「ちょっと、不器用すぎ!そこはもっと右側に引っ張って!」
「誰か、ピン取ってーー!」
「……あれ?裏編み込みと表編み込み、どう違うんだっけ?」
「莉子、髪ふわふわだねぇ~」
ぎゃんぎゃんと耳元で騒がれて、ちょっと…いやかなりうるさいです。
先ほど、なぜかいきなり四人がニヤニヤしながら私の元へ近づいて来て。
私の髪の毛をセットし始めた。
結構きつく引っ張られているので、痛くはないけど顔が引きつっているのは感じる。
ちなみに杏奈もその四人の中に混じっていて、一番ギャンギャン騒いでいる。
「……はぁ。」
思わずため息をこぼしてしまった。
……首動かせないから痛いんだよね。
ちょっと頭を動かすだけで「動いちゃダメ!」と怒られちゃうし。
暇だ、と思いもう一度ため息を吐く。
かれこれもう十分は経過しているのじゃないだろうか。
自分の今の髪型を確認したいけど、あいにく鏡なんて持ってないしなぁ。
暇だなぁー。髪の毛どうなってるのかなぁー。なんて思って目だけキョロキョロしていると、視界の隅に葉月くんが入った。
反射条件で顔を向けてしまう。
「いたっ」
すると、抑えれているのに無理矢理向いたため、髪の毛が引っ張られて痛かった。
「動いちゃダメだって!」
「誰か、ゴム持ってないーー?」
「あ、ずれた」
「本当髪型も天使~」
誰か、私を助けてください。
高校に入って伸ばし始めた髪は、今では胸の位置まで伸ばす事が出来た。
短めだったころは目立ってなかったけど、実は私天パだから…。
長くなった髪が、もじゃもじゃになってしまったのだ。
でもまぁ、せっかくだからもうちょっと伸ばそうと、髪がもじゃもじゃになっていることには目をつぶっていた。
周りからはくるくるで羨ましいーとかよく言われるけど、私からすればストレートの方がうらやましいよ。
髪を梳くごとに、櫛に髪の毛が絡まってめんどくさいったらないんだから。
さらさら~ってのに憧れる。
今度ストパかけてみようかなぁーなんて考えながらも、横目でじっと葉月くんを見ていた。
うん、ぼんやりとしか見えないけど今日も素敵。