悲愛日記
肌寒い…から本格的な寒さに変わって来た今日この頃。
未だ、葉月くんを無視してしまっている。
……どうすればいいか分からいんだ。
今更なんて話しかければいいか分からないし、タイミングというものがまるで掴めない。
そして気が病んでいるからなのか、夜も考えてあまり睡眠がとれていないからなのか、本当に体調が悪くなってしまった。
若干頭がぼーっとして、体がダルい。
今は数学の授業中。
葉月くんに教えてもらった時、勉強法も教えてもらって。
それを実践してみると授業にちゃんとついていけているから凄いものだ。
でもいつもなら理解できる授業も、椅子に座っているだけで辛い体で受けることは正直キツい。
……あぁ、もうダメだ。
一瞬意識がフワッと飛び、さすがにまずいと席を立った。
静かな教室に椅子を引く音が派手に響く。
「……伊東、どうした?」
黒板に数式を書いていた先生が振り返って、目が合った。
一瞬鋭い視線を向けられるけど、気にしていられない。
「………ちょっと、気分悪いので……」
そう言うと周りはざわざわとなり、先生は焦った声を出した。
「そ、それなら保健室に行きなさい!」
「……そうします」
声を絞り切って言った。
そのまま軽く先生に頭を下げて、ふらふらと教室を出て保健室へ向かった。