悲愛日記










「んっ……」








寝返りを打って、目を開ける。









あれ、ここどこだろう……?









でも直ぐにここが保健室だと思い出した。








そっか、私熱出ちゃったんだ。









今何時だろうと思いながら周りを見まわたす。








……あれ、ないじゃん。








どこにあるんだろう?と、頭は痛むがゆっくり体を起こしたとき……。










シャーっと、控えめに閉められていたカーテンが開いた。










保健室の先生?と思ってそちらに視線を向けると。








明らかに体が強張ったのが分かった。








「…なんで……葉月くん?」










葉月くんが、目の前にいる。








なんだか久しぶりに真正面から葉月くんの顔を見た気がした。










「………大丈夫?」









久しぶりに会話をする私たち。









「う、うん……」








多少のギクシャクがあるものの、なんだかこうして話すことは以前と何も変わってない気がした。










「そっか」










でもそう言って微かに笑った葉月くんに。









私は、つい涙を流してしまった________。










熱のせいか、今までずっと涙を我慢してたせいか、止まることなくどんどん流れる。










涙で滲んで見える葉月くんが、ギョッと焦ったのが分かった。









ずっと見たかった葉月くんの笑顔。









こんな形でだけど、見れたことに感動した。








「り、莉子ちゃん?どっか痛い…?」








すると私のすぐそばに寄った葉月くんが、私に顔を近づけてくる。











< 73 / 132 >

この作品をシェア

pagetop