悲愛日記
カリカリとペンの走る音だけが響く。
チラッとノートから顔を上げて葉月くんを見ると、参考書に視線を落としていた。
………その姿が切り取られた一枚の絵のように、綺麗だった。
少し伏せられた瞼。
まつ毛なんて絶対私よりも長いと思う。
肌も夏は少し焼けていたけど、今はだいぶん元の白めの肌に戻ってきている。
素晴らしく顔の整った葉月くんは、何をしても本当に絵になる。
かっこいいなぁ、なんてボーっと見つめていたら…。
不意に葉月くんが視線を上げた。
「見過ぎ」
そう言ってクスリと笑う。
え、見てたのバレたっ?なんて焦って、慌ててノートにまた視線を落とした。