悲愛日記
その時、ガチャリとドアが開いたので慌てて机に肘を置いた。
入り口を見ると葉月くんがお盆を持って笑顔を浮かべていた。
その顔は何もかも見透かしているようで。
私は曖昧に微笑んだ。
「はい、ココアでよかった?」
そして差し出されるマグカップ。
この部屋は暖房が効いて暖かいけど、もう外なんて極寒の寒さだ。
「ありがとっ」
マグカップを手に持つと、暖かくて思わず笑顔になれた。
葉月くんは自分のマグカップを持ち、先ほどの私の真正面の位置ではなくて、私のすぐ隣に座った。
そして少し後ろにずれベッドにもたれる。
カップに口をつけながら、横目でその様子を見ているとポンポンと葉月くんは隣を叩いた。
「ここ来てよ」
少し戸惑ったけど…私も葉月くんの横に移動して、ベッドにもたれた。
照れくささを隠すように、ココアを飲む。
「……美味しい」
凄く甘くて、温かくて、思わず言葉が漏れた。
「なら良かった」
至近距離で見える葉月くんの笑顔。
……かっこいい。
穏やかな時間が流れる中、私の心はドキドキして穏やかなんかじゃなかった。