悲愛日記
そしてココアを飲み終わった後も、特に何かを話すことなく静かに隣に座っていた。
この静寂を気まずいとは思わず、とても心地のいい時間が過ぎた。
そしてどのくらいの時間がたったのだろうか…。
不意に、葉月くんが声を上げた。
「あのさ、莉子」
「……なぁに?」
首をかしげながら葉月くんの方に顔だけ向けると、葉月くんは真面目な顔で私を見ていた。
何を言われるのか、戸惑う。
「……俺の名前、呼んでよ」
でも葉月くんは柔らかい笑みで私を安心させるように言った。
「な、まえ…」
しかし私は混乱する。
「もうそろそろ呼んでよ?2人だけの時だけもいいからさ」
じーっと葉月くんを見るものの、葉月くんは至って真面目な顔。
………………名前、呼び。
絶対ムリだ。
恥ずかしすぎる。