LB4
クールビズ期間が終わり、ジャケットを着るようになった頃。
えみちゃんからメッセージが届いた。
『彼氏できたよー!』
メッセージの次には二人で撮ったプリクラの画像が表示されている。
不自然に目が大きく加工された制服姿のえみちゃんと、ひとりの少年。
少年は黒髪で、まあまあイイやつそうな感じがする。
その一枚だけでも彼がえみちゃんの尻に敷かれている様子が伝わってきて、思わず声を出して笑ってしまった。
彼ならえみちゃんを大事にしてくれる気がする。
『おめでとう!』
ポップなスタンプを添えて送信。
どうか、末長くお幸せに。
「何笑ってんの?」
純生クリームロールを食べている千佳がこちらを向いた。
「ちょっとね」
「あっそ」
言ってロールケーキを入れていたコンビニ袋から紅茶を取り出し、ごくり。
袋の中にはまだ、俺のタバコと0.03ミリのあいつが入っている。
さすがに一晩で一箱使い切ったことはないが、付き合い始めてから2ヶ月弱で数箱消費していることを白状しておこう。
ブブ、と再び携帯が震え、画面を操作した。
『ありがとー。そういえばこの間言い忘れてたけど、来年の春にママが再婚しまーす』
「マジか」
思わず声に出て、また千佳がこちらを向く。
「なに?」
「あーいや、知り合いが結婚するらしくて」
もしかしたらいつか俺たちも……?
とか、考えたりして。
「ふーん。めでたいね」
きたるべきその時のために、俺のプロポーズにイエスと答えるよう、今のうちから教育しておいた方が良さそうだ。
この女のことである。
どうせ一筋縄ではいかないのだから。
Bother04:女にだらしない俺