LB4
彼とのデート明け、月曜日。
「えみー。ヘコみ過ぎだってー」
「ダメ元だって言ってたじゃーん」
教室で机に突っ伏して失恋の絶望感を噛み締めている私を、クラスメイトの恭子(きょうこ)と織恵(おりえ)が半笑いで慰めてくれる。
ていうか、なんで半笑い?
二人とも非処女だからってバカにして。
「ブラ外されたのに何もしてもらえなかったあたしの気持ちがわかってたまるか」
「きゃー! 外されたんだ!」
「それでそれで? 何がどうなったら途中でやめちゃうの?」
途中でやめたんじゃない。
始まってさえなかった。
「知らないよ、もう……」
再び机に突っ伏したその時。
「乳が足りなかったんだろ」
頭上から聞こえてきた不快な男の声。
直後に恭子と織恵のバカ笑いが教室に響く。
あたしは顔を上げ、これでもかというくらいギロリと睨みつけた。
「田中(たなか)マジ超ウザい!」
隣の席の男子、田中は、いわば私の天敵だ。
大してカッコ良くもないくせに、私の恋愛に偉そうに指図してくる。
「貴重な男の意見だぞ。ありがたく聞けよ」
「はぁ? 全然ありがたくないし。あんたの意見なんて参考にしたくない。ていうか話に入ってこないでよ」
「仕方ねーじゃん聞こえたんだもんよ」