LB4

ガハハと下品に笑う田中。

こいつはさっき乳が足りなかったとほざいたが、あたしはこのアホに乳を見せたり触られたりするようなヘマは一度もしなかったはずだ。

そもそも大悟くんにだって、下着を外されただけで見られてはいない。

触られてもいない。

この男の言うことなど、聞く価値はないのだ。

「あー、大悟くんが同い年だったらチャンスあったのかなー」

あるいは1つ上なら。

いやいや2つ上でもギリギリいけたんじゃないか?

彼は5つも年上。

この年の差は縮まらない。

「たらればを言えばキリねーじゃん」

「そうだよえみ。やっと長い片想いが終わったんだから、次の恋探さないと」

「失恋の傷は、新たな恋じゃないと埋められないからね」

そんなこと言われたって、簡単に気持ちは切り替わらない。

新たな恋って、誰を好きになれっていうの。

「何なら俺を好きになってもいいんだぜ」

田中のキモいセリフを、恭子と織恵が「それいいじゃーん」とはやし立てる。

「いやそれはないからマジで」

勘弁してよ、こんなやつ。

カッコよくて大人の大悟くんとは比べ物にならない。

同じ男だと思いたくもない。

こいつが非童貞だなんて信じられない。

見栄張ってんじゃないの?

「1番好きな人とは結ばれないって、よく言うじゃん。2番目くらいがちょうどいいんだよ」

なによそのドヤ顔。

いいこと言ったつもりなんだろうけど、全然響いてこないから。

< 125 / 180 >

この作品をシェア

pagetop