LB4
藤川はとことん呆れきった顔でため息をつき、必ず今日中に提出するよう強く言いつけてあたしを教室へ帰した。
はいはい、ちゃんと出しますよ。
ただでさえテストで赤点ギリギリの数学。
提出課題にだって卒業がかかっていますからね。
留年なんてカッコ悪いことにはなりたくない。
美容師の専門学校だって受かったのに、それを棒に振りたくない。
ママに顔向け出来なくなっちゃう。
学費を出してくれるお父さんにも申し訳ないし。
いずれ新しいパパになるかもしれないママの彼氏にも、心配なんてかけたくない。
あたし、しっかりしなきゃ。
大変な思いをしてひとりで育ててくれたママの幸せのためにも、早く独り立ちしたい。
お父さんが今の家族のことに集中できるよう、早く自立したい。
でも、そうなるとあたしは独りぼっちになっちゃうから、願わくば、それまでにラブラブな彼氏がほしい。
理想は大悟くんみたいに、優しくて大人で、あたしを正しい道に導いてくれる人。
藤川が言ってた大人のイイ女ってやつになりたいな。
どういう女なのかとか、なれる方法とか、もっと詳しく聞いとくんだった。
きっとママみたいな人だよね。
二人は隠してたつもりなんだろうけど、あたしは気付いてる。
ママと大悟くん、たぶん昔付き合ってた。
いや、付き合ってたというより、たぶん、エッチだけの関係だったんだと思う。