LB4
あたしのママは若くてキレイだ。
とびきりの美人というわけじゃないけど、プロポーションとかヘアスタイルとかが洗練されてて、イイ女の代名詞みたいな人だ。
あたしの憧れ、自慢のママ。
当然だけど、男の人にはかなりモテる。
送ってもらって帰ってくることもしょっちゅうあった。
ママが車を降りる前に、運転席にいる人とキスしてるのを、窓から目撃してしまったことも何度かある。
それが大悟くんだったことも、何度かある。
ショックとか驚いたとかっていうより、ただママがうらやましかった。
だから一昨日のデートはドライブをリクエストしたんだけど、結果は前述の通り。
あたしはママの娘だけど、ママにはなれなかった。
大人ぶってみたけど、出来の悪い生徒のままだった。
昼休みを犠牲にして数学のノートをやったけれど、あたしの頭脳では時間内に終わらせることができなかった。
藤川には帰りのホームルーム終了後に、ちゃんと今日のうちに出すからもう少し待ってとお願いをして、渋々だったが了承を得た。
今日は早く帰りたかったのだろうか。
彼女に会う予定でもあったのかな。
半年前、プライベートの藤川に偶然会った。
偶然大悟くんにも会ったイベントだ。
藤川は、大人の女の人を連れていた。
藤川にしては、まあまあキレイな女だった。
ママとは系統が違うけれど、イイ女の代名詞のような人だった。
藤川のくせに。
思い出すと、課題が俄然憎くなる。