LB4

あたしのママは若くてキレイだ。

とびきりの美人というわけじゃないけど、プロポーションとかヘアスタイルとかが洗練されてて、イイ女の代名詞みたいな人だ。

あたしの憧れ、自慢のママ。

当然だけど、男の人にはかなりモテる。

送ってもらって帰ってくることもしょっちゅうあった。

ママが車を降りる前に、運転席にいる人とキスしてるのを、窓から目撃してしまったことも何度かある。

それが大悟くんだったことも、何度かある。

ショックとか驚いたとかっていうより、ただママがうらやましかった。

だから一昨日のデートはドライブをリクエストしたんだけど、結果は前述の通り。

あたしはママの娘だけど、ママにはなれなかった。

大人ぶってみたけど、出来の悪い生徒のままだった。

昼休みを犠牲にして数学のノートをやったけれど、あたしの頭脳では時間内に終わらせることができなかった。

藤川には帰りのホームルーム終了後に、ちゃんと今日のうちに出すからもう少し待ってとお願いをして、渋々だったが了承を得た。

今日は早く帰りたかったのだろうか。

彼女に会う予定でもあったのかな。

半年前、プライベートの藤川に偶然会った。

偶然大悟くんにも会ったイベントだ。

藤川は、大人の女の人を連れていた。

藤川にしては、まあまあキレイな女だった。

ママとは系統が違うけれど、イイ女の代名詞のような人だった。

藤川のくせに。

思い出すと、課題が俄然憎くなる。

< 130 / 180 >

この作品をシェア

pagetop