LB4

「お前、敬語もまともに喋れねーのかよ」

「電話を取るときは必ず名前を聞けっつってんだろうが!」

「自分のことは自分でやれ。事務方に迷惑かけんな何様だ」

「それはお前の努力不足だ。ゆとりを言い訳にしてんじゃねーよタコ」

怖い!

厳しい!

口が悪い!

この人本当に女かよ!

極めつけは、初めての商談に緊張して縮み上がっていた時のこと。

何度もダメ出しを食らってやっと完成した提案書を見つめ、震えながらブツブツ説明の練習をする俺を見て苛立ちを募らせた彼女は、俺のネクタイの結び目を掴んで俺をガツンと壁に押し付けた。

「てめぇそれでもキンタマついてんのかよ!」

ガン!

ピンヒールのパンプスが俺の膝と膝の間に突き刺さる。

あの時の彼女は最高に怖かった。

この人は本当にタマを潰しかねないと思った。

もはや俺をいびりたいだけなのではないだろうか。

この人に比べたら、取引先の人は天使のように優しかった。

だから、商談自体はうまくいった。



ていうか、キンタマって……。

世の中にはそんな言葉を大声で叫ぶ女がいるのか。

驚いた。



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