LB4
俺は正直、モテてきたと思う。
陰で「王子」と呼ばれることも多く、女の子にはちやほやされてきた。
自分がいいなと思った子は大体俺のことを好きで、難なく恋愛を楽しめた。
人並みに恋愛経験はある。
だけど相澤さんに関しては、今までのぬるい恋愛経験なんて全部無意味だ。
そもそも彼女自身が、今まで関わってきた女たちと全く性質が違う。
年上、男勝り、人の女。
俺に媚びない、下心がない、脈もない。
この人を振り向かせるためには何をしたらいいのだろう。
井の中の蛙だった俺にはさっぱりだ。
だって、俺は年上の女を落としたことなんてないし、人の女を奪ったこともない。
何かをきっかけに、彼氏に酷いことをされて嫌いになって、別れてくれないだろうか。
そしたらそこに全力でつけ込めるのに。
他力本願なのはわかっている。
だけど恋愛なんてそんなものだろう?
ひとりよがりに頑張ったって迷惑にしかならない。
脈がないなら損するだけだ。
無駄に傷つきたくない。
こんな気持ち、知られない方がいい。
どうせ報われないのだから。
きっとそのうち、諦めがつくさ。
そういうスタンスで、彼女に惚れたままズルズル2年が経過したある日。
俺は髪をバッサリ切った彼女と、ふとしたきっかけでセックスをするに至った。