LB4



そんな彼と仕事終わりに二人で酒を飲んでいたある夜のこと。

「ねえ板東。あんた、ちゃんと女に興味ある?」

何となくそう訪ねてみると、板東は眉間にぎゅっとシワを寄せて言った。

「相澤(あいざわ)さん。それ、どういう意味で聞いてます?」

「浮いた話、聞かないし。性欲もなさそうだし」

私は酒の勢いもあって、頭に浮かんだことをオブラートに包むことなく出す。

あれ、これってセクハラ?

呆れた顔をしている板東を見ると、性欲なんて露骨な言葉を口に出した自分がだんだん恥ずかしくなってくる。

「俺を何だと思ってるんですか。ありますよ、性欲くらい」

なんだ、あるんだ。

だったら正常じゃん、よかった。

もしかしたら男性器すらついてないかもしれないなんてバカみたいなことさえ考えてたから、安心した。

「あっそ。ならいいけど」

照れを感じていた私は、興味なんてないふうに反応した。

すると板東は、珍しく少しムキになって言い返してきた。

「あのね、俺だって男なんすよ!」


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