LB4
中学からの後輩である大悟に彼女との話をすると、彼は驚いた顔でこう言った。
「板東さんらしくないっすね」
大悟は千佳と同期で、台風の日に一緒に飲むはずだったうちの一人。
千佳とは先日会ったので、今日は彼と二人である。
「そんなにらしくないかな?」
「板東さんが自分から手出すとか、女のために頑張るとか、全然イメージできないっすもん」
「千佳ちゃんにも同じこと言われたよ」
社会には出たが、まだまだ学生っぽさの抜けない彼を見ていると、自分も新人の頃はこうだったのだろうかと複雑な気持ちになる。
よくわからない名前のカクテルをがぶがぶ飲んでいる大悟は、早々に顔を赤くして言う。
「彼女さん、アラサーなんですよね?」
「うん。たしか今28だったかな」
「そのうち結婚を迫られたりするんじゃないっすか?」
そのシーンを想像してみる。
俺を壁に押し付け膝の間にヒールを突き刺し、とびきりの睨みを効かせて一言。
『キンタマついてんなら腹くくれ!』
……なんてね。ありえる。
「ははっ、むしろ迫ってほしいよ、俺としては」
焦っているのは俺の方。
法に拘束してもらった方が安心だ。
「えーっ。これからが男盛りなのに、それでいいんすか?」
「俺はお前と違って、子種を撒き散らす趣味はないんだよ」