LB4

その後、大悟は女に呼ばれたからと他の店へ。

俺は駅へ向かいながら、携帯を耳にあてる。

コール音は2回半で鳴り止んだ。

『もしもーし』

彼女の声が聞こえると、心臓が膨らんだように胸が窮屈になる。

「相澤さん、俺ですけど」

『うん。どうした?』

「今からそっち行ってもいいですか?」

『あたしはいいけど、あんた着替えとか大丈夫? 昨日もうちに泊まったし、明日も仕事なのに』

俺はこれが最後の恋になってもいいってくらい必死なのに、着替えなんか気にしていられない。

心配ならいっそのこと、持っている全ての衣類を彼女の部屋に運んだっていい。

「ていうか、行く。会いたい」

『あっそ。じゃあ、待ってるね』

俺の好きの度合いが高すぎて、引いたりしない?

あなたは俺のこと、どれくらい好き?

恋人になってくれて嬉しいのに、同じくらい不安だ。

だから、いつか俺がこの関係に自信が持てるようになったら、自分から結婚を申し込んでみようと思う。

でも、その前に。

「相澤さん」

『ん?』

愛してる。

「綾(あや)さんって呼んでもいいですか?」

『……やだよ恥ずかしい』

あ、そうだ。

そこのコンビニで彼女の好きなチョコ菓子を買っていこう。






Bother02:彼氏のいる先輩

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