LB4
「千佳は恋愛に夢見すぎ」
大悟はいつも、そう言って私をバカにする。
「実際めんどくさいぜー。一人に縛られて、遊びに行くだけでアレコレ疑われて。それで後からネチネチ責めてくるし」
こいつに関しては当然だ。
疑うもなにも実際に他の女を引っ掛けて食う癖が治らないんだから、女はネチネチ責めるしかなくなる。
「あんたほんといっぺん女に刺されればいいのに」
そんなことを言ってみても、この男はヘラヘラ笑いながら、私の愛人体質に己の欲の塊を押し込んで腰を振っている。
「俺、千佳とは途切れたことないじゃん。超一途じゃね?」
「バカじゃないの? 刺されて死ね」
悪口で返したけれど、大悟はなお楽しそうに笑った。
いっそのこと、こいつの女たちの代わりに私が刺してやろうか。
「俺に刺されて死にそうになってんのは千佳の方じゃん」
本当に刺してやろうか。
下品な冗談もいつものことだが、腹が立つ。
怒りに顔を歪める私を見下ろしている大悟はニヤリと不適な笑みを浮かべ、身体を前に倒し、本気の態勢に入った。
それを察知した私は、自発的に刺激に堪えるべく軽く力む。
そうしたくなくても、してしまうのだ。
まるでパブロフの犬のように。
すると大悟も私の覚悟が決まったことを悟って、その合図にぎゅっと指を絡めてくる。
私たちの間では、そうするのがもう癖になっている。
いつも余裕ぶった顔してムカつく。
女の敵のような最低男なのに。
「あんたほんとクソ。カス。クズ。アホ……」
私は思い付く限りのチープな罵詈雑言を浴びせたが、次第に何も言葉らしい言葉は出なくなり、大悟の狙い通りのタイミングで泣きながらイッた。
悔しい。
「俺、千佳とするのが一番好き」
絶対に言わないけれど、私も大悟とのエッチが一番好きなのだ。
だけど、私はいつだって、早く彼氏を作って大悟とのバカみたいな関係を終わらせたいと思っている。
思ってはいるのだ。