LB4
「千佳さー。そんなに彼氏がほしいなら、一回俺と付き合えばいいじゃん」
大悟はたまに、こういうことを言う。
「やだよ。記念すべき初めての彼氏なんだから、本当に好きになった人がいい」
それに、女遊びの激しいこいつと付き合ったって、浮気されて嫌な思いをすることが目に見えている。
そもそも私とのこの関係だって不純なのだ。
出会ってすぐの飲み会で、酔った私をホテルに連れ込み手込めにした、あの時の手口の鮮やかさは見事としか言えない。
あれからかれこれ4年。
こいつとの関係は大学を卒業した今も続いているが、4年の間に大悟に彼女がいたこともあるし、浮気相手が私だけではなかったことも、私は知っている。
「そういうのにこだわってるから、いつまでたっても彼氏ができないんだよ。いっぺん経験してみれば、もっと上手く立ち回れるって」
「うるさいなー。頑張るもん」
今さらあんたとどんな恋愛ができるというの。
服を脱ぐまでのドキドキ感もないじゃない。
私たちがイチャイチャと愛を囁き合う場面なんて、想像しただけで嘘臭くて鳥肌がたつ。
女と見れば見境のない大悟に
「俺には千佳だけだよ」
とか言われてもキモいだけだ。
大悟の遊びに本気になった女が突然やってきて、逆恨みで殴られるかもしれないし、ひょっとしたら刺されるのは私の方かもしれない。
そんなリスクを抱えてまで、こいつと付き合う価値があるとは思えない。