コンペイトウと月。
夜。
「きゃぁー!」
突然校内に響く女の子の奇声。
「あっ、奏いこっ!」
皆もう慣れてる。
いつも不定期に聞こえてくるこの女の子の奇声に。
「うんっ!」
私も流される。
本当は、
行かなくたっていい。
「きゃー!せんぱーいっ!」
皆が眺める視線の先には一人の男の人。
「今日もかっこいいー。」
顔良し、身長良し、頭良し、運動神経良し、性格良し、まさに完璧!
皆の理想そのもの!
“三浦大輝”先輩(3年)は、いつでもみんなの注目の的。
今は廊下を通っているだけだけど、各教室から女子が沢山扉に群がってます。
「先輩おはようございますっ!」
うちのクラスからも声が上がった。
「あ、おはよう。」
まじ天使級の笑顔。
言われた瞬間周りから悲鳴。
あんまり興味はないけど、
「今いい匂いした。」
先輩が通った後にほのかに香る花の匂い。
香水でも付けてんのかな…?
先輩が教室に入ったあとは他の教室は先輩の話で持ちきり。
皆先輩の魅力を語る時間。
正直暇だから、
私は終わってない課題を進める時間。