T&Y in神戸
いつもなら飛ぶように過ぎる時間が、今日に限ってノロノロと歩みを止める。


「………。」


執務室に出入りする岸と目が合う回数もいつもよりずっと多い。

「集中なさって下さいね。」
「……してる。」

ころころと笑う岸に溜め息が出る。

「明日のこの時間は、何処にいらっしゃるご予定ですか?」
「ーーーさあ、何処だろうか?」

時計の針は11時を指していたーーー朝食を済ませて、街の何処かを歩いているだろうかーーー……由香利が喜んでくれるなら何でもいい。




< 10 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop