きみのふいうち



翌日の昼休み、桐原くんはわたしのいるフロアまで傘を届けに来てくれた。

「花南さん、桐原と知り合いなんですか?」

受け取った傘をフロアの隅にある傘立てに刺しこんでデスクに戻ると、井倉ちゃんにそうたずねられる。

接点のなさそうなわたしと桐原くんが話しているのを見て不思議に思ったらしい。

あれ、でも井倉ちゃんと桐原くんこそ、知り合いなんだ?

と、少し考えてすぐに合点がいった。

そうだ、ふたりは同期だった。

「あ、うん。実は大学が一緒なんだ」

椅子に腰を下ろしながら答えると、井倉ちゃんは少し驚いた顔をしながらも、そうなんですね、と呟いた。

納得してくれたような口調だけど、眉根が若干寄っているような……。

もしかしてこれ、暁くんと同じような誤解をされてる?

「……ただの友達だからね?」
「そこは疑ってないですよ」

念をおしたわたしに、サクッと返してきた井倉ちゃん。
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