きみのふいうち
それはよかった。
……って、ちょっと待って？

「そこは、ってなに？ほかに疑ってるところがあるってこと？」

「え、そりゃあ、今は友達でも昔はくっついたり離れたりがあったのかな、とか」

やっぱり暁くんと同じ勘違いされてるし！
もう、みんなどうしてそんなにくっつけたがるかな！

「ないから！ずっと友達！」
「……好きだったとか、そういうのもないんですか？」
「ないよ！」

わたしの否定に怪訝そうな表情を浮かべる井倉ちゃん。

どう言ったら信じてくれるのかと考えてみたけれと、いい考えは浮かばない。

「なんでそんなに疑うかな……。井倉ちゃんだって、仲良い男友達、いるでしょ？」

井倉ちゃんってさっぱりした性格だし、男女関係なく友達多そうだもん。

わたしと桐原くんみたいな友人関係も理解してくれそうなんだけどなぁ。

「私、男女の友情は成立しない派なので」

「あー、まさかのそっちの派閥でしたか」

予想に反してキッパリ否定されてしまい、思わず頭を抱えたい気持ちになった。

「井倉ちゃん、でも」
「花南さん」

ここは男女の友情は成立する派としての意見を主張しなければと思ったけれど、言いかけた言葉はわたしを呼ぶ声に遮られてしまう。
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