きみのふいうち
内部の簡単な打ち合わせに使われるミーティングスペースは、それぞれのテーブルが背の高いパーテーションで区切られている。
軽い休憩に使う人もいるので、今は昼休み中ということもあってか、こころなしか賑やかな雰囲気。
4人掛けのテーブルについた暁くんの向かいに座ったわたしを見て、しかし暁くんはすぐに視線を逸らしてしまった。
……え、なに。
言いにくいことでもあるの?
もしかしてわたし、指摘するのが気まずいくらいのミスとかしちゃった…!?
ああ、だけど、そういうことなら納得できる。
暁くんが昼休みが終わる前に声を掛けてきたのも、デスクじゃなくてわざわざミーティングスペースで話をしようとしているのも。
優しい暁くんらしい気の遣い方。
もう。わたし、何をやらかしたんだろう。
確かに今日は、昨日のことがあったから、暁くんを見ると苦しくなってしまって集中力もあまりなかったし、お世辞にも良い精神状態とは言えなかったけど……。
「あ、暁くん。わたし、いったい何をやらかしちゃったのかな……」
依然目を合わせてくれない暁くんに恐る恐る尋ねてみる。
すると。
「え?」
と、不思議そうな顔を向けられた。
「言いにくそうだったから、なにかミスしちゃったのかと思ったんだけど……」
「え、違う違う。ていうかごめん、仕事の話じゃない」
申し訳なさそうな顔でそう言われ、今度はわたしが不思議そうな顔をする番だった。
仕事の話じゃない?
それなら一体、何の話?
首をかしげたわたしに、暁くんは苦笑をこぼした。