きみのふいうち
その目は息をのむほどまっすぐで、真剣な色をしていたから。
まるでその視線に囚われてしまったような錯覚に陥ってしまい、わたしはなにも言えず、手を振りほどくこともできずに固まってしまった。
それでも、心のなかで重なり続ける『どうして』という想いはとどまることを知らないようで、視線が絡む間にもわたしの中の感情の波はまったく収まってくれない。
「……ほら。泣いてないでしょ?」
それでもなんとか無理矢理笑みを作って、だから手をはなして、と言うことができた。
それなのに暁くんは黙ったまま、わたしをじっと見つめてくる。
苦しげな表情はどこか切なそうにも見えて、またわたしの心をかき乱す。
「暁くん、早く手を」
「たしかに泣いてはない、けど。……泣きそうに見える」
わたしの言葉を遮って不安げな声色でそう言われ、もう我慢の限界だった。
「……ほっといて」