きみのふいうち
ぽつり、と思わず零れた言葉。
ああ、と思った。
ひとつ零れてしまったら最後、全部零れ落ちてしまうような気がする。
「え?」
「わたしのことなんて、ほっといてよ。そもそもわたしが桐原くんと付き合ってたら何だって言うの。わたしが誰と付き合おうと暁くんには関係ない」
ダメだった。
やっぱり、止められなかった。
よりによって1番言いたくなかったことを言ってしまった。
関係ない、なんて。
たとえ友達相手でも、こんな悲しい言葉、言いたくなかったのに。
なんて、頭でははやくも後悔しているのに、心は感情を抑えられなかった。
暁くんは驚いたように目を見開いて、そしてショックを受けたように目を伏せる。
それでもわたしを掴む手をはなしてくれない。