きみのふいうち
コーヒーをいれながら、そういえば、とはたと思い当たった。
仕事に集中していたからか、暁くんと今微妙な感じになっているの、忘れてた。
早いほうがいいんだから、タイミングを見て、暁くんに話をしたいと言わなくちゃ。
午後イチは会議だって言っていたから、それが終わってからのほうがいいよね。
うん、よし。
暁くんが会議から戻ってきたら、話があるって言おう。
それで、わたしもちゃんと伝えるんだ。
暁くんが昨日言ってくれたみたいにまっすぐに、わたしも好きです、って。
「……」
くるくると砂糖とミルクをかき混ぜながらそんなことを考えていたら、かぁ、と顔に熱が集まってきてしまった。
……ついに言うんだ。
伝えることなんてない気持ちだと思っていたのに。
さっきは普通にできたけど、大丈夫かなぁ。
昨日みたいに逃げ出してしまったら最悪だ。
本当はまだ、暁くんがわたしを好きだなんて信じられない気持ちもある。
夢の中にいるんじゃないかと疑ってしまうくらい。
暁くんと両思いだなんて想像するのも憚られるくらい、ありえないって思っていた。
「花南さん」
「ひゃっ!?」
完全に考え事に気をとられていたわたしは、突然後ろから話かけられたことに驚いて、変な声が出てしまった。