好きになんか、なるもんか!
一條君の手を引いてやって来た場所は私の秘密基地。そこまで大層じゃないけど。草が生い茂る中の一角。
茂みの中を進むと見える。私の秘密基地。
「じゃん! ここが秘密基地だよ」
「…おぉ」
一條君の反応、良いや。
私達が見たのは日差しで輝いて見える不思議な風景。この場所を探し当ててから家からシートを持ってきて下に敷いた。もう完全な基地。
「まさかこんな場所があったなんてな。
周りは茂みだし外からじゃ見えねぇ」
「うん……でも何で女子から逃げなきゃいけないの?」
そう言うと一條君は一瞬、驚いた顔をした後笑いを堪えながら笑った。
この態度に段々ムカついてきた。
「な、何がおかしいの!」
「ククッ…あぁ笑えた。
お前、俺を知らねぇの?」
笑ったと思ったら今度は私の目を真剣に見つめる。そんなに見つめられるとドキドキしちゃう。
「知らない。芸能人?」
「いや……俺は学校じゃ王子って呼ばれてんだ。分かっただろ」
それじゃ、さっきの女子達が言ってた王子って目の前に居る……。