乱華Ⅱ
マンションを2人で出て、この寒空の中をてくてくと歩く。
倉庫に行く前に学校に寄って司と合流することになっていて、梶さんはそこに迎えに来るらしい。
…最近梶さんの車ばかりだったから、ちょっとの道のりでも歩く事はすごく新鮮な気もするけど。
…やっぱ寒い。
パーカーの上に羽織ったダウンのチャックを上まで閉めてても寒い。
並木道はもうすぐクリスマスということで、イルミネーションで派手にデコられている。
そんなイルミネーションを眺めながら歩いていると隣から控えめな咳払いが聞こえてきた。
「つーかよ、」
「…何?」
「思ったんだけどよ、」
「うん」
「お前ってアレだな…」
「何?」
「…だからアレだよ…あー…」
「…さっさと言えよ」
歯切れ悪くごにょごにょと何かを言ってるタクに段々いらいらしてしまう。
「…颯人が着替えさせたっつっても顔色一つ変えないのな」
「…うん?」
だから何?
キョトン顏でタクを見つめる。
「っだから!お前には恥じらいっつーもんがねぇのかって言ってんだよ!」
幸いここは繁華街ではないから、繁華街ほど視線はないけど。
朝の怒りが再臨したかのように捲し立てたタクに、道ゆく人がチラチラこちらを振り返った。
なんで急にキレるのか。
歩くスピードは緩めずに足は学校を目指したまま、私はハーっと大きなため息を吐き口を開く。
「…あのさぁ、前に言ったじゃん」