乱華Ⅱ
ドラム缶に寄りかかるようにして座り、フゥーと息を吐けば見事に真っ白。
顔が寒さで少し麻痺したかの様になっていて、耳も冷たいけど。
それでも私の心の中は何故か暖かく感じた。
修の過去は楽しいものじゃなかったけれど、
それを共有できて
修に、乱華に、一歩近づけたからだろうか。
そうだといいな…なんて。
「…良かったな」
いつの間にか隣に立つ颯人は、ポンと私の頭の上にその大きな手を乗せた。
それ以上口にしなかったけど多分、私と修に何があったのか気付いているんだと思う。
颯人はどこかタク達をぼんやりとした目で眺めていて、それに倣ってそちらに目を向けた。
「うん。颯人、ありがとう」
少し遠くで正宗から石入り雪玉を喰らうタクが見えた。
それを周りで見守る中には修も司もいて。
みんながみんな笑顔だった。
それぞれが楽しめたであろう、クリスマスイヴ。
雪はどんどん積もって行き
きっと明日の朝には、街全体が雪景色に変わるんだろう。