乱華Ⅱ




ドラム缶に寄りかかるようにして座り、フゥーと息を吐けば見事に真っ白。

顔が寒さで少し麻痺したかの様になっていて、耳も冷たいけど。



それでも私の心の中は何故か暖かく感じた。



修の過去は楽しいものじゃなかったけれど、



それを共有できて



修に、乱華に、一歩近づけたからだろうか。
そうだといいな…なんて。



「…良かったな」


いつの間にか隣に立つ颯人は、ポンと私の頭の上にその大きな手を乗せた。




それ以上口にしなかったけど多分、私と修に何があったのか気付いているんだと思う。





颯人はどこかタク達をぼんやりとした目で眺めていて、それに倣ってそちらに目を向けた。




「うん。颯人、ありがとう」




少し遠くで正宗から石入り雪玉を喰らうタクが見えた。
それを周りで見守る中には修も司もいて。




みんながみんな笑顔だった。







それぞれが楽しめたであろう、クリスマスイヴ。




雪はどんどん積もって行き



きっと明日の朝には、街全体が雪景色に変わるんだろう。



< 106 / 200 >

この作品をシェア

pagetop