乱華Ⅱ
昨日は騒ぎすぎて、みんな死んだようにこの倉庫で仲良く雑魚寝したわけだが。
お酒を飲んでいない(飲ませてもらえない)私はみんなよりも早くに目が覚めた。
幹部部屋のソファーで眠っていたらしい私は、そっと起き上がり、みんなが眠る間を縫って窓へと近づいた。
2階の幹部部屋の窓から見える外は一面雪景色で
やっぱり見事なまでに雪は積もっていた。
向かいの平屋の倉庫とこちらの倉庫の間には、屋根があるから雪は積もっていないけれど。
倉庫の奥に見える砂浜は一面真っ白だ。
それとは対照的に空はカラリと晴れていて、晴天と呼べるだろう。
サンサンと注がれる太陽は室内から当たれば暖かく感じた。
だけど、きっと今日は車もロクに動かせないだろう。
チラリ、幹部部屋の中を見渡してみる。
その時壁掛けの時計が目に入った。
時刻は午前9時。
ハッキリ言おう。
私は今迷っている。
彼らを起こすべきか否か。
今日私には行きたい場所がある。
それを彼らに告げずに行く事は、1人行動しないって言ってある以上できないだろう。
それでも迷う理由は…
「…心ちゃん、起きてたの?」
「あ、正宗…」
どうするか迷っていたところで、ソファに蹲って寝ていた正宗からの声がかかる。
いつものエセスマイルなんてない、ごく自然体な彼はそのダークブラウンの髪をかきあげ私を見つめる。