乱華Ⅱ



「私は…そういう事、やってたの。だから恥じらいなんて…ない。
ましてや下心があったわけじゃなくて、颯人はただ私を介抱しただけでしょ。
そんなことでいちいち騒いでたらキリがないじゃん」




「…」


私の言葉にハッとした表情になって立ち止まったタクに、私も立ち止まり、振り返る。





「…でも、もうしてないから」



もう、しない。

あれは心の隙間を埋めるためにやってた事。



今の私にはちゃんと居場所があるから…
それをくれたタク達には感謝してるし、あの時堕ちる私を救ってくれたのは間違いなくタク、なんだ。





首から下がるネックレスをきゅっと握って「タク達のおかげだから、ありがと…」




柄にもなく言ってすぐに前に向き直る。



もうアレは私には必要のないモノなんだ。








「いきなり微笑むとか、反則だろーが」




タクが後ろで何か言ったけど、前を向く私の耳には届かなかった。




< 11 / 200 >

この作品をシェア

pagetop