乱華Ⅱ
「私は…そういう事、やってたの。だから恥じらいなんて…ない。
ましてや下心があったわけじゃなくて、颯人はただ私を介抱しただけでしょ。
そんなことでいちいち騒いでたらキリがないじゃん」
「…」
私の言葉にハッとした表情になって立ち止まったタクに、私も立ち止まり、振り返る。
「…でも、もうしてないから」
もう、しない。
あれは心の隙間を埋めるためにやってた事。
今の私にはちゃんと居場所があるから…
それをくれたタク達には感謝してるし、あの時堕ちる私を救ってくれたのは間違いなくタク、なんだ。
首から下がるネックレスをきゅっと握って「タク達のおかげだから、ありがと…」
柄にもなく言ってすぐに前に向き直る。
もうアレは私には必要のないモノなんだ。
「いきなり微笑むとか、反則だろーが」
タクが後ろで何か言ったけど、前を向く私の耳には届かなかった。