乱華Ⅱ
私の言葉に歯ブラシ突っ込んだままの修も、ピンで髪の毛を弄っている司も、タンク姿のタクも、用意し終わったらしい颯人も、その動きを止め私を見やる。
その視線はあまり居心地のいいものではなくて、どちらかというと探るようなもの。
「…桜田霊園ってこの街にあるあの桜田霊園か?」
誰も口を開かない中、最初に言葉を発したのはここの長、颯人。
颯人は落ち着いているのか、落ち着いていないからなのか、タバコを取り出し、それに火を付ける。
「そう。そこ……お墓参り、行きたいの」
だんだんと弱々しくなっていく私の言葉に、颯人はおろか、誰もその場から動かなくなった。
まるで人形のように。