乱華Ⅱ
そっと目を開けて目の前の墓石を見る。
そこに書かれた佐伯家之墓の文字。
今でも信じられない。
なんでこんな事になったのか…
私がいくら話しかけても、いくら悲しんでも、もう返事は返ってこない。
あの頃のような笑顔を見ることもできない。
全てが突然で
残された私はどうしたらいいの…。
今でも時々夢に見るあの楽しかった日々。
あれは小学校1年生も終わりの出来事だった。
私が学校に行っている時、パパとママは2人で出掛けていたらしい。
その帰り道、居眠り運転をしたトラックに2人は轢かれたのだと…
そしてパパとママ…そして運転手も即死だったと…
涙目になりながら担任の先生に聞かされた。
ママの手には、私へ買ったぬいぐるみのプレゼントが持たれていたらしい。
春休みに、と約束していた家族旅行にはもう2度と行くことができなかった。