乱華Ⅱ
この怒りを、悲しみを私は一体どこにぶつければいいのか。
それさえもわからない。
それでも私には進むしか道がなくて、ここまで来たんだ。
「じゃぁ、行くね」
すくっと立ち上がって、もう一度墓石を見る。
ゆらゆらと立ち昇る線香の煙は青い空へと吸い込まれて消えた。
車に戻るとタクも梶さんも車の外でタバコを吸っていて。
その足元に広がる吸い殻の数に苦笑いが零れた。
「…もう、いいのかよ」
「うん、ありがとう」
私に気づいたタクが今火をつけたばかりのタバコを、足でもみ消して私の元へと歩み寄る。
梶さんもそれに気付いて顔を上げた。
今日初めて合った視線。
梶さんの瞳は、立派な龍を背負っている強面な見た目には似合わないくらいに、ゆらゆらと揺れていた。
2人とも心配しててくれたんだよね?
だからこその表情なんだよね…?
そんな顔しないでよ。
私が逆に苦しくなっちゃう。
「あのさ…」
意を決して口を開いた私は
そこで初めて両親の事故の事を2人に話した。