乱華Ⅱ
渋々タクの部屋を出て、玄関までの道を歩く。
司は学校行ってていないし、颯人は倉庫に泊まってる。
こんなにピンポン鳴ってるっていうのに、修も正宗も起きないのかよ。
廊下から見えるそれぞれのドアを睨みつけながら、玄関のドアを開けた。
「お届けものです」
目の前には朝にぴったりな爽やかを纏った男が、どでかい箱を持っていた。
「…えっ、と」
「少し重いのでお荷物ここに置いときますね!じゃぁここにサイン下さい」
たじろぐ私なんてまるで見ていなくて、業務的に話す男がテキパキと動く。
どうにか指摘された場所にタクの名字の安芸と書けば
「ありがとうございましたー」
男は背を向け小走りにもと来た道を戻って行った。
「…なんだったんだよ、今の」
ドアをパタンと締め廊下に置かれたやたらとでかい箱を見下ろす。
そこに書かれた差出人は安芸詩織。
…間違いなくタクの血縁者であろう。
「おい、なんだよコレ」
気づけば背後には頭をボリボリとかくタクがいて、結局来るんならお前が応対しろよと思いながら口を開く。
「知らねーよ。アンタ宛の荷物でしょ」