乱華Ⅱ
ガサゴソとその箱を紐解いて行くタクに、小さなため息を吐いて再びベッドへと戻ろうとした。
「うぉっ!?なんじゃこれ!おい、お前これ見ろよ!」
だけどその一言で私はベッドへ戻り損ねて、言われた通りにその中を覗き込む。
中にあるのはおびただしい程の食材。
肉、カニ、エビ、野菜、はたまたお米…
……何これ。
仕送り的な何かですか?
「何?なんの騒ぎ?」
「朝からうるさいんだよお前らは〜」
訝しげにその箱を覗き込んでいた私の耳に、漸く起きて来たらしい2人の声が聞こえた。
「おい、今日は鍋だ!鍋するぞ!」
「は〜?つか何その荷物〜」
「お袋から。それより鍋な!今日は鍋パ決定だからな!」
やけに嬉々としたタクの声。
そんなに鍋好きなんかい。
「詩織さんから?ってこの量すごすぎでしょ」
そして詩織とはタクの母親らしく、正宗も顔見知りの様子。
荷物を覗き込んだ正宗は若干引きつった笑みを漏らす。
わかるよ。その気持ち。
こんな量普通の高校生食べないからね。
こうして送られてきた食材で、今夜鍋パーティーなるものが開催されることが決定された。