乱華Ⅱ
室内に漂うタバコの匂い。
その匂いの元、隣の修を観察しながら口を開いた。
「私もこんな大掃除みたいな事させられるなんて…思ってもみなかったわ」
まぁ誰だってそんな事想像だにしないだろうけど。
こんなのイレギュラーだ。
普通じゃありえん。
手に持つコーヒーを一気飲みして、テーブルに置いた。
「だよな〜」
クスリ笑って美味しそうにタバコを口に持って行く修。
…しかしこいつタバコ持つ指が綺麗だな。
ソファーに座ってタバコ吸うだけで様になってるし、色気もあるとは。
なんかお風呂入ったからとはいえ、タクのスウェット着てる自分のちんちくりん具合に悲しくなってきた。
「おーい?大丈夫か〜?」
気付けば目の前に修の手が翳してあって、私の顔を横から覗き込んでいる。
その距離の近さと覗き込む態勢で自然と上目遣いになってて、目にかかる前髪がよりこいつを色っぽく見せた。
「だっ…大丈夫!」
やけに心臓がドキリとして、あからさまに目を逸らして体を修から遠ざけてしまった。
…何意識してんだ。
相手はあの修なんだから。