乱華Ⅱ
自分の行動に後悔しながら、小さく息を吸い込んだ。
落ち着け私。
落ち着くんだ。
「いやっ、ほらしゅ…」
慌てふためきながら修の方へと振り返った私は、それ以上言葉が続かなかった。
目の前のこの男のこの笑顔のせいで。
明らかにニヤニヤとしていて、私のことなんかお見通しって感じの表情。
「なーに意識しちゃってんの〜?ココロチャン」
…ほら。
心底楽しい、みたいな顔して私との距離を縮める修。
それに引き換え私はというと、なんとなく身の危険を感じてソファーの端へと後ずさりした。
…その笑顔やめてくれないか。
「意識なんかしてない。どーせからかってるだけでしょ」
いやマジで。
私なんかからかっても、何もいい事ないからね?
「へー本当かなぁ?ちょっと試してみてもいい〜?」
「はっ?」
修が私に近づく度にソファーからはギシギシと音がして、それがやけに生々しく感じる。
完全にソファーの端に追い込まれた私は修の手で囲われていて、逃げるに逃げられない。
「ちょっ…そんなおふざけやめていーから!」